家庭内で人を刺す害虫は一様ではありません。ダニとノミの見分け方をより深く理解するためには、家屋に侵入する代表的な種ごとの生態特性を把握する必要があります。
屋内で問題となるダニの大半は、チリダニを捕食するために増殖する「ツメダニ」です。ツメダニは体長0.3〜1.0mm程度で肉眼での確認は難しく、吸血は行いませんが偶発的に人を刺して体液を吸い、唾液毒素で強い炎症を引き起こします。一方、「イエダニ」はネズミや鳥類に寄生する吸血性のダニで、宿主が死んだり営巣場所から移動したりした際に人を吸血します。イエダニ被害は、天井裏のネズミ駆除とセットで対処しなければ根本解決に至りません。
対照的に、家庭で被害を出すノミの約9割は「ネコノミ」です。猫だけでなく犬や人間にも無差別に吸血行動を行い、体長は2〜3mmと目視可能です。体長の60倍以上跳躍する能力を持ち、一度室内に持ち込まれると畳の隙間やカーペットの毛足の奥に産卵し、わずか数週間で爆発的に増殖します。
また、野外の草むらや森林地帯で注意すべきなのが「マダニ」です。マダニは家庭内のダニとは分類が異なり、数日間にわたって皮膚に口器を深く突き刺して吸血し続けます。重症熱性血小板減少症候群(SFTS)や日本紅斑熱といった致死的な疾患を媒介するため、マダニ感染症危険性を念頭に置き、無理に引き抜かず直ちに医療機関を受診する冷静さが求められます。