テレビ特番の現地取材や生還者の証言録、さらには猟友会関係者への聞き取り調査から浮き彫りになったのは、多くの被害者が「人間のパニック反応によるNG行動」によって熊の攻撃を誘発してしまったという痛ましい現実です。現場で絶対にやってはいけない行動を5点に集約しました。
1. 背中を見せて一目散に走って逃げる
人間が背中を向けた瞬間、熊の肉食動物としての「逃げる獲物を追跡・捕食する反射スイッチ」が作動します。時速50km近いスピードで走る熊から逃げ切ることは不可能です。転倒した無防備な背後から襲われ、重傷を負う典型的なケースです。
2. 悲鳴を上げる、大声で威嚇し返す
突然の遭遇にパニックを起こして黄色い悲鳴を上げたり、石を投げて脅そうとしたりする行為は逆効果です。極度の緊張状態にある母熊をさらに刺激し、「即座に排除しなければ危険な敵」と判断させてしまいます。
3. スマートフォンを向けて写真や動画を撮影する
SNS等で問題視される行為ですが、スマホを構えて静止する姿勢は、熊の視覚からは「獲物を狙って身構えている敵」に見えます。また、撮影に集中することで母熊の接近を察知する周囲への警戒がおろそかになります。
4. 子グマに触れる、エサを与える
論外の行為ですが、子グマが寄ってきた際に手を出したり、持っていた食べ物を投げたりすることは自殺行為です。人間の匂いが子グマに付着するだけで、母熊が激昂する決定打となります。
5. ネットの古い迷信「死んだふり」を無条件に信じる
立ったままその場にうつ伏せで倒れ込むだけの「死んだふり」は、熊にとって「無抵抗の獲物」が転がっているのと同じです。母熊は子供への脅威が完全に排除されたかを確認するため、強烈な前足の打撃や噛みつきを加えてきます。防御姿勢には正しいやり方(後述)が存在します。