猫が顔を舐めてくる心理と危険性|愛情の裏に潜む感染リスクと対処法

猫が顔を舐めてくる心理と危険性|愛情の裏に潜む感染リスクと対処法

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愛猫の純粋な親愛の情を無下に断るのは忍びないと感じる飼い主は少なくありません。しかし、医学的な見地から見ると、顔面へのグルーミングを無条件に許容することは重大なリスクを伴います。厚生労働省や国立感染症研究所の報告でも警鐘が鳴らされている通り、猫の体内には人間に対して病原性を示す複数の常在菌が存在します。

筆頭に挙げられるのが、パスツレラ症の感染リスクです。原因菌となるパスツレラ・ムルトシダは、健康な猫の口腔内にほぼ100%常在しています。猫自身には何の症状も引き起こしませんが、人間の傷口や目・口の粘膜から侵入すると、患部の急激な腫脹、激痛、蜂窩織炎(ほうかしきえん)を引き起こします。基礎疾患を持つ人や高齢者、乳幼児が感染した場合、重篤な肺炎や敗血症へと進展し、最悪の場合は死に至る事例も報告されています。

さらに警戒すべき病原体が、カプノサイトファーガ感染症です。猫の口腔内に約60〜70%の割合で保有されているカプノサイトファーガ・カニモルサス等の細菌は、舐められた部位の微細な傷口や粘膜から体内に侵入します。発症頻度は極めて稀であるものの、免疫力が低下している人が発症した場合の致死率は約20〜30%に達するという衝撃的なデータが存在します。播種性血管内凝固症候群(DIC)や多臓器不全を引き起こす危険性があり、決して「たかが猫に舐められただけ」と軽視できるものではありません。

これらの健康被害を未然に防ぐため、公的医療機関が推奨する人獣共通感染症の予防策を遵守することが強く求められます。特に「唇への直接のキスを避ける」「目や鼻の周りを舐めさせない」「舐められた直後は速やかに流水と石鹸で洗い流す」という基本行動の徹底は、愛猫を守るためにも不可欠なルールです。

橋本 菜々子
著者

橋本 菜々子

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。