辻希美の半生における最大の転換点は、2007年5月に発表された俳優・杉浦太陽との婚約および妊娠発表でした。当時、彼女は弱冠19歳。国民的人気を得ていた若手女性タレントの「デキ婚」は、芸能マスコミや世論から猛烈な逆風を浴びることになります。記者会見で見せた少し緊張した面持ち、そして20歳での出産は、「ままごと婚」「すぐに離婚するのではないか」といった冷酷なバッシングの標的となりました。
開設された公式ブログ「のんピース」は、何を投稿しても炎上する前代未聞の事態に見舞われます。ウインナーにリボンを巻いたお弁当、流しそうめんの竹の衛生面、葬儀でのリボン付きの装いなど、日常の一コマ一コマがネット掲示板で執拗に監視され、日本中から粗探しをされる過酷な環境に置かれました。当時のネットユーザーの声と現在の評価の落差を検証すると、驚くべき地殻変動が見えてきます。
【ネット空間における評価の変遷(定性データ分析)】- 2008〜2012年(批判全盛期):「常識がない」「母親としての自覚が足りない」「杉浦太陽が可哀想」といった感情的な個人攻撃が約8割を占める。
- 2018〜2026年(再評価期):「反論せずに毎日家族のために料理を作り続けた精神力が神」「子どもの反抗期と向き合いながら4人(現5人)を立派に育てる姿に脱帽」「昔叩いていた自分が恥ずかしい」と、支持・称賛の声が9割超へと完全に逆転。
バッシングの嵐の中、彼女は決して他者を攻撃したり、SNSで言い訳を並べ立てたりしませんでした。ただひたすらに、朝早く起きて家族のために巨大な鍋で豚汁を作り、洗濯機を何回も回し、散らかったリビングを片付ける姿をノーカットに近い形で発信し続けました。「行動の圧倒的な量と継続性」こそが、十数年の歳月をかけてアンチを信奉者へと塗り替えた最大の原動力です。