実際に現地で運行状況を取材すると、Aシートの需要は時間帯と区間によって極端な二面性を見せています。
最も激しい争奪戦が繰り広げられるのは、平日の朝7時台から8時台にかけて大阪駅へ到着する上り・下り便です。特に滋賀方面からの「草津・京都→新大阪・大阪」間、および兵庫方面からの「姫路・明石・神戸→大阪」間は、乗車日の数日前から満席表示が並ぶ光景が日常化しています。朝のラッシュ時に満員電車の圧迫を回避し、静かにノートパソコンを開いて作業できる環境に対して、600円を支払う価値を見出すビジネスパーソンが完全に定着した証拠です。
利用者のSNSやコミュニティ掲示板で交わされる生の声を検証すると、以下のようなリアルな実態が浮かび上がってきます。
「大阪から姫路までの1時間強、確実に座れて全席コンセントがあるのは本当に助かる。特急が走っていない時間帯の救世主」(30代会社員・男性)
「座席自体は特急並みに快適だけど、編成の9号車に1両しかないから通勤ピーク便は発売開始日(1ヶ月前)に押さえないと無理。本数をせめて毎時1本にしてほしい」(40代IT関係・男性)
「一般車と仕切られていて静粛性は高いが、ドア付近の立ち客の視線が少し気になることがある」(20代女性)
座席定員が1両あたり44〜46席と限られているため、金曜日の夕方から夜間にかけての帰宅ラッシュ便(大阪発下り・姫路方面行き、および大阪発上り・京都方面行き)も、夕方前には指定席が完売する傾向が顕著です。「乗れたら乗る」という感覚では確保が難しく、事前の計画性が問われるのが現場の実情です。