ワゴン販売の終了によって、最も多くの利用者が不安視したのが「あのカチカチに凍ったアイスや淹れたてのコーヒーはもう二度と車内で口にできないのか」という疑問であった。結論から言えば、現在もこれらは購入可能であるが、そのアクセス方法は物理的な「ワゴン」から「デジタルと自販機」へとドラスティックに変化した。
「シンカンセンスゴイカタイアイス」の愛称でSNS上でもカルト的人気を誇るスジャータアイスに関しては、のぞみ停車駅を中心としたプラットホーム上にスジャータアイス自販機が順次配備された。最新の冷凍冷却技術を搭載したこの自動販売機では、伝統のバニラやベルギーチョコレートをはじめ、季節限定のフレーバーもラインナップされている。シンカンセンスゴイカタイアイスの買い方は、乗車前のわずかな時間を使ってホーム上で交通系ICカードやQR決済で購入し、座席へ持ち込むスタイルが基本となる。
また、新幹線車内コーヒーの購入方法に関しても、専用のドリップコーヒー自販機がアイス自販機に隣接して設置されている駅が多い。注文ごとに豆を挽いて抽出する高性能マシンが導入されており、かつての車内ワゴンで注がれていた一杯と同等、あるいはそれ以上のクオリティが担保されている。
さらに、東海道新幹線のぞみ・ひかりのグリーン車を利用する場合に限り、革新的なJR東海モバイルオーダーサービスが提供されている。これは、座席の肘掛けやシートバックに備え付けられた専用QRコードを乗客自身のスマートフォンで読み取り、ウェブブラウザ経由で注文するシステムである。注文データはパーサーの携帯端末に即座に送信され、指定の座席まで商品が直接デリバリーされる。このグリーン車限定車内販売の導入により、グリーン車では従来の「いつ回ってくるかわからないワゴンを待つストレス」から解放され、よりパーソナルかつ効率的な注文環境が実現した。