四阿屋神社の歴史は古く、その創建は古代の英雄譚に深く結びついています。主祭神として祀られているのは、東征をはじめとする数々の武功で名高い日本武尊(やまとたけるのみこと)です。さらに山の神である大山祇尊(おおやまづみのみこと)、航海安全・水難除けの守護神である住吉大明神および志賀大明神、食物や産業を司る豊受大神(とようけのおおかみ)の計五柱が配祀されています。
山神と水神が合祀されている構造は、境内に清らかな渓谷を抱く四阿屋神社の地勢と見事に合致しています。古くから農耕の水源を守る水源信仰の拠点として崇敬を集め、地域住民の間では「家内安全」「厄除開運」「水難消除」「五穀豊穣」に強力な神徳を持つパワースポットとして語り継がれてきました。
地域の文化財史料によると、秋の収穫期には鳥栖市蔵上町に所在する蔵上老松神社において、四阿屋神社ゆかりの神事である「四阿屋神社の御田舞(おんだまい)」が奉納される伝統が息づいています。毎年10月20日前後の第三または第四日曜日に舞われるこの民俗芸能は、田植えから収穫までの営みを模擬的に表現し、作物の実りに感謝を捧げるものです。四阿屋神社は単なる景勝地にとどまらず、鳥栖の農民生活と精神史の根幹を数百年単位で支え続けてきた歴史的重みを備えています。