医療従事者以外の一般人がエコー写真から胎児の健康状態を推し量ろうとする際、最大の落とし穴となるのが「3D・4Dエコー写真の見た目」によるセルフ診断です。
記念として渡される3D・4Dエコー写真は、超音波の反射信号をソフトウェアでレンダリングして皮膚の表面を可視化した「表面描出画像」に過ぎません。赤ちゃんの鼻が丸く押しつぶれて見える、あるいは低く平坦に見える最大の原因は、子宮壁や胎盤に顔を押し付けている物理的な圧迫です。
これに対し、ダウン症のスクリーニングで評価されるのは皮膚の奥にある硬組織、すなわち「骨(鼻骨)」の内部エコー像です。軟部組織の輪郭と骨の骨化進度は全く異なる次元の話であり、写真の見た目で「鼻が低いからダウン症かもしれない」と結びつけるのは論理的な飛躍です。
さらに見過ごされがちなのが、遺伝的な「顔立ちの類似」です。超音波画像に映し出される胎児の鼻の高さや鼻梁の角度は、両親からの遺伝的形質を色濃く反映します。両親のどちらかが鼻根部が緩やかな骨格である場合、胎児の鼻が低く描出されるのは極めて自然な生理的現象です。骨化の進行スピードにも個人差があり、妊娠中期以降に急速に明瞭化するケースも数多く報告されています。