端正な顔立ちを彩った金髪とへそピアス。その背景には、エリート家庭に育ち名門校に通う優等生としての顔と、急速に知名度を上げていくアイドルグループの一員としての顔という、激しいアイデンティティの摩擦が存在していました。
櫻井翔自身が後に回顧録や対談番組で明かしたところによると、へそピアスを開けたのは高校生(16歳〜17歳頃)の春休みでした。「親に内緒で、自分で安全ピンを使って開けた」という生々しいエピソードは有名です。高級官僚の父と大学教授の母という厳格な家庭環境の中で育ち、慶應義塾普通部から高校へと進んだ彼にとって、それは家族や周囲の大人に対する極めて直接的な反抗期エピソードでした。
さらに注目すべきは、彼が語った金髪の理由です。当時、慶應義塾大学経済学部に進学した櫻井翔は、芸能活動と学業の過酷な両立を強いられていました。キャンパス内では「どうせアイドルだから出席日数もおまけしてもらっているのだろう」「留年して芸能界一本になるに決まっている」という好奇と偏見の目に晒される日々でした。
そうした陰口に対し、若き櫻井翔は激しい怒りを覚えます。「絶対にナメられたくない」「チャラチャラした見た目をしていながら、誰よりも結果を出してやる」という意地が、彼を極端なハイトーンカラーやカラコンの着用へと駆り立てました。ステージ上ではグレーやブルーのカラーコンタクトを装着し、あえて「近寄りがたい異端児」を演じることで、周囲の嘲笑を跳ね返す鎧(よろい)としていたのです。