過酷を極めた病室で、松田優作さんを最期まで献身的に支え続けたのが妻の松田美由紀さんでした。1983年に結婚した二人の間には、長男・松田龍平さん(当時6歳)、次男・松田翔太さん(当時4歳)、そして生後間もない長女・ゆう姫さんという3人の幼い子どもたちがいました。
美由紀さんの手記や当時の関係者への取材によると、入院中の優作さんは激痛に耐えながらも、家族の前では決して弱音を吐かず、父親としての威厳を保ち続けようとしていたといいます。意識が混濁する最期の瞬間、優作さんが愛妻・美由紀さんの手を強く握り締めながら絞り出した最期の言葉は、「美由紀、ありがとう。子どもたちを頼むな」という、家族への深い愛情と感謝に満ちた言葉でした。
大黒柱を失った美由紀さんは、深い悲しみと世間からの過剰な注目に晒されながらも、優作さんの遺志を継ぎ、3人の子どもたちを立派な表現者へと育て上げました。長男の松田龍平さんは日本アカデミー賞主演男優賞を受賞するトップ俳優となり、次男の松田翔太さんも独自の美学を持つ実力派俳優として活躍。長女のゆう姫さんはアーティスト・ミュージシャンとして独自の感性を発揮しています。父親の血筋と美学は、今なお日本のエンターテインメント界の中心で脈々と息づいています。