かつて日本各地には、個性豊かな看板を掲げた独立系チェーンが百花繚乱の如く乱立していました。Web上の専門アーカイブや商業史の調査記録によれば、これまでに日本国内で誕生したコンビニ業態は、地域限定の小規模チェーンを含めると250種類以上にのぼります。その歴史は、激しいサバイバルと事業再編の連続でした。
今でも昭和・平成世代の記憶に強く刻まれている昔のコンビニ名前一覧を振り返ると、それぞれの特徴が鮮やかによみがえります。
- ampm(エーエム・ピーエム):「午前(am)から午後(pm)まで」を意味し、完全冷凍食品をその場で高出力レンジ加温して提供する「とれたてキッチン」で都会派ビジネスパーソンを魅了した。ファミリーマートに吸収。
- サンチェーン:太陽をモチーフにした看板で親しまれ、のちにローソンと合流して現在のローソンの基盤となった。
- HOT SPAR(ホットスパー):オランダ発祥のボランタリーチェーン。赤いモミの木マークがトレードマークで、茨城など東日本を中心に展開。カスミグループからココストア等を経て再編。
- ココストア:1971年愛知県に1号店を出した「日本のコンビニ発祥」を争うパイオニアチェーン。手作りおにぎり「ばくだんおにぎり」で有名だったがファミリーマートに統合。
- セーブオン(SAVE ON):群馬県を中心に「いいもの安く」を掲げたベイシアグループの雄。「焼きまんじゅう」の店内調理など地域に愛されたが、ローソンへ看板替え。
- チックタック(Tictac):時計の文字盤をモチーフにしたロゴで、関西や中部地方を中心に親しまれた中堅チェーン。
こうした消えたコンビニチェーン一覧の歴史の中で、最大の転換点となった事件がサークルKサンクス統合の経緯です。アメリカ生まれで中京圏に強固な基盤を持っていた「サークルK」と、首都圏中心に赤い「K」マークで知られた「サンクス(SUN+THANKSの造語)」は、2004年に経営統合してサークルKサンクスを発足させ、全国約6,000店舗規模の巨大グループを形成していました。
しかし、流通業界の巨編劇の中で、親会社のユニーグループ・ホールディングスが2016年9月にファミリーマートと経営統合することを決断します。これにより、2年以上の歳月をかけて全国のサークルKとサンクスの看板が順次「FamilyMart」へと架け替えられました。看板商品の濃厚焼きチーズタルトや焼き鳥など、サークルKサンクスの魂とも言える人気メニューの一部はファミマに引き継がれたものの、慣れ親しんだ看板が街から姿を消した瞬間は、流通業界のみならず多くの一般ユーザーにとっても時代の終わりを告げる象徴的な出来事として記憶されています。