「小さく潰して捨てたほうが、回収業者も助かるはずだ」という思い込みは、リサイクルの初期工程において思わぬ障壁を生み出しています。全国清涼飲料連合会や日本容器包装リサイクル協会の公表資料、さらには現場の技術関係者の報告によると、ペットボトルを極端に潰してしまうことで、ペットボトルリサイクル工場内の自動化ラインに深刻なエラーが発生しているのです。
その元凶となっているのが、近年多くの選別施設で主力設備として稼働している光学選別機(近赤外線センサー選別機)です。この装置は、ベルトコンベア上を高速で流れる容器に近赤外線を照射し、反射した光の波長を分析することで「PET樹脂」「アルミ」「スチール」「プラスチック(PE/PP)」を一瞬で判別し、高圧エアーで瞬時に仕分けます。しかし、足でペッタンコに踏み潰されたり、雑巾のように固く絞られたりしたボトルは、反射面の角度が歪み、平らになったラベルの波長を強く拾ってしまいます。その結果、機械が「PET樹脂ではない異物」や「単なるプラスチックフィルム」と誤認識し、資源ラインからゴミ箱へ弾き出してしまう事態が頻発しているのです。
さらに、異物の混入チェックと風力選別におけるトラブルも見逃せません。中身を完全に確認できないほど潰れたボトルの中に、タバコの吸い殻や注射針、洗剤などの危険物が隠れていた場合、後工程の粉砕機や作業員に重大な危害を及ぼします。また、風の力で軽量プラスチックや袋を吹き飛ばす風力選別機において、平たくなったボトルが風に乗って袋類と一緒に吹き飛ばされ、リサイクル工程から脱落してしまうケースも報告されています。「潰さないで」と周知する自治体や工場は、こうした資源ごみ回収基準の厳格化とハイテク設備の高精度運用を守るために、あえて形状の維持を求めているのが真相です。