体に異常なしこりを発見した際、読者が真っ先に迷うのが「皮膚科に行くべきか、形成外科に行くべきか、あるいは整形外科なのか」という診療科の選択です。
結論から述べると、最も推奨される第一選択は「形成外科(Plastic Surgery)」です。皮膚科は皮膚表面の湿疹、アトピー、感染症などの内科的治療を専門とする科であり、クリニックによっては「診断はつけるが、切除手術は設備がないため他院の形成外科へ紹介状を書く」というフローになるケースが少なくありません。一方、形成外科は体表および皮下組織の形態的異常を外科的に修復し、「いかに目立たない傷跡で美しく治すか」に特化したプロフェッショナルです。
なお、しこりが筋肉の奥深くに存在する場合や、10cmを超える超巨大なもの、悪性が強く疑われるケースでは、骨軟部腫瘍を専門とする「整形外科」や「腫瘍専門外来」への受診・紹介が必要となります。
近年の脂肪腫治療において著しい進化を遂げているのが、切開線を極限まで短くする低侵襲アプローチです。従来の手術では、腫瘍の直径とほぼ同じ長さの皮膚を切開して取り出す方法が標準的でした。例えば5cmの脂肪腫であれば、5cm前後のメス傷が残ってしまっていたのです。しかし、最新の形成外科領域では以下のような低侵襲手技が普及しています。
- 小切開摘出術(ミニマム・インシジョン法):腫瘍のサイズよりも大幅に小さな切開創(1〜2cm程度)から特殊な器具を滑り込ませ、被膜を剥離しながら内部の脂肪組織を丁寧に細片化・圧出して摘出する手法。傷跡の長さを従来法の半分以下に抑えることが可能です。
- 高周波ラジオ波メス・超音波凝固切開装置の活用:出血を極限まで抑制しながら周囲組織との癒着を剥離できるため、術後の内出血や腫れのリスクを大幅に低減し、回復スピードを早めます。
- 内視鏡補助下手術(部位による選択):顔面や前頭部など、傷跡が露出して目立つ部位の腫瘍に対して、髪の生え際など遠隔の目立たない場所から内視鏡を挿入して腫瘍を削岩・吸引する手法。保険適用の要件や適応部位は限られるものの、整容性を極める選択肢として進化を遂げています。