問題は、この造形美を支える生物学的な防御メカニズムにある。枝を傷つけた瞬間に勢いよく噴き出す白い樹液は、単なる樹液ではない。ユーフォルビア属特有の「ホルボールエステル」と呼ばれる強力なジテルペンエステル類を大量に含んだ、極めて腐食性の高い毒液だ。
剪定ばさみを入れた途端、目に見えない飛沫が飛ぶ。あるいは、手についた樹液を無意識に目の周りに擦り付ける。数分後、灼熱感とともに激痛が走り、角膜上皮が化学熱傷を起こして剥がれ落ちる。日本中毒情報センターや皮膚科医のもとには、「少し枝を整えただけなのに、目を開けていられないほどの激痛に襲われた」という患者が連日運び込まれているのが現実だ。素手で触れば強い水疱ができ、皮膚の弱い子どもなら完治まで数週間を要する。