そもそも「いちにのさん」というフレーズはどのように生まれたのでしょうか。そのルーツは極めてシンプルで、漢数字の「一(いち)」「二(に)」「三(さん)」の音読みに助詞の「の」を挟み、3拍子のリズムでタイミングを揃える機能美から派生したとされています。近代以降、学校教育での集団行動や体操、軍隊での号令を通じて標準的な合図として全国へ普及していきました。
一方、よく比較される「いっせーのーで」との違いは、言葉の構造そのものにあります。「いっせーのーで」の語源は「一斉(いっせい)」であり、「一斉に+の+で」という文法的な組み立てから成り立っています。「全員同時に行動を起こす」という明確な号令が口語変化を起こし、リズムを取りやすい形へと定着したものです。
また、九州の「さんのーがーはい」の語源については諸説あります。「3の番(合図)、はい」が訛ったとする説や、「1、2」を心の中でカウントして「3の(タイミングで)行くよ、はい」という3拍目スタートの感覚が言語化したとする説など、日本人の身体リズムと言語感覚が融合した興味深い歴史的背景を持っています。