1990年代前半、日本の音楽シーンを席巻していたのは間違いなく「ビーイング」だった。B'zやWANDS、ZARD、大黒摩季らがチャートの上位を独占し、綿密に計算されたキャッチーなメロディと分厚いギターサウンドが街中に溢れていた時代だ。その渦中に彗星のごとく現れたのが、4人組ロックバンドのBAADである。
当時、東映アニメーションが手がけた『スラムダンク』のテーマソングタイアップは、単なるプロモーションの域を完全に超えていた。原作者・井上雄彦が描く高校生たちの汗、挫折、そして剥き出しの闘志。それらと90年代J-ROCKの持つ骨太なエナジーが奇跡的なシンクロを見せたのだ。従来の「子供向け」というアニメソングのステレオタイプを粉々に打ち砕き、一級のロックチューンとしてオリコンチャートを駆け上がった瞬間だった。