育児メディアやSNS、妊婦向けコミュニティを調査すると、家庭内で手足口病に直面した母親たちの生々しい葛藤と苦痛が浮かび上がってきます。
「2歳の長男が保育園からもらってきた3日後、私の喉に激痛が走り、足の裏に水疱ができて歩けなくなりました。妊娠7ヶ月でお腹も大きいのに、抱っこをせがむ上の子を突き放すわけにもいかず、マスクと手袋をして泣きながら看病しました。知恵袋などで『胎児に影響はない』と読んでも、夜中に激痛で眠れないときは不安で押しつぶされそうでした」(都内在住・32歳・第2子妊娠中)
「公の場で発信される感染対策マニュアルは『患者とタオルを分ける』『オムツ替え時に手袋をつける』と簡単に書いてありますが、イヤイヤ期真っ盛りの幼児を相手に完全隔離など不可能です。よだれを拭いた手で顔を触られ、オムツ替えで暴れられれば、どれほど注意してもウイルスを防ぐのは至難の業でした」(神奈川県在住・29歳・第2子妊娠中)
手足口病の感染経路は、咳やくしゃみによる飛沫感染、水疱の内容物や唾液に触れる接触感染、そして便中に排泄されたウイルスが口に入る糞口感染の3つです。特に保育園世代の乳幼児は、おもちゃの舐め合いや排泄介助を通じて大量のウイルスを撒き散らします。さらに、手足口病を引き起こすエンテロウイルス群は「ノンエンベロープウイルス」に分類され、一般的なアルコール消毒薬が効きにくいという厄介な特性を持っています。流水と石けんによる徹底した手洗い、次亜塩素酸ナトリウム(塩素系漂白剤の希釈液)を用いた消毒でなければウイルスを無力化できない点が、家庭内感染の防御を極めて困難にしている実態があります。