なぜ水素水ブームは消滅したのか?行政処分と科学的根拠の全真相

なぜ水素水ブームは消滅したのか?行政処分と科学的根拠の全真相

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水素水市場が一気に冷え込む契機となったのは、2016年12月15日に国民生活センターが公表した商品テスト結果でした。当時、同センターには「病気に効くと聞いて購入したが本当か」「水素が本当に入っているのか疑問」といった消費生活相談が相次いで寄せられていました。

国民生活センターが市販の容器入り水素水10銘柄および水素水生成器7機種を対象に実施したテストは、業界に激震を走らせました。容器入り水素水の一部銘柄において、賞味期限内であるにもかかわらず「溶存水素濃度が検出限界以下(事実上のゼロ)」であったことや、開栓後に急速に水素が抜けていく実態が白日の下に晒されたのです。さらに事業者へのアンケート調査では、飲用目的として「水分補給」以上の具体的な健康効果を公的に裏付ける回答が得られなかった事実も公表されました。

この公表を受けて行政も本格的に動きました。翌2017年3月、消費者庁は「飲むだけで痩身効果が得られる」「生活習慣病を予防できる」といった効能をパッケージやウェブサイトで謳っていた水素水販売事業者3社に対し、景品表示法違反(優良誤認)に基づく措置命令を下しました。合理的な根拠を示す資料の提出を求めたものの、提出された資料には客観的な臨床裏付けが認められなかったためです。この一連の摘発によって「健康に良い魔法の水」という幻想は崩壊し、量販店やドラッグストアの店頭から水素水関連商品が一斉に撤退する引き金となりました。

加藤 愛美
著者

加藤 愛美

マーケティングと消費者心理のトレンドを分析し、現代のヒット商品の背景を読み解きます。