独立という決断は、当時の演劇界に小さくない衝撃を与えた。大手事務所からの独立はリスクを伴うとされる業界の常識を、彼は圧倒的な結果で覆してみせた。
個人事務所「Pasture」を立ち上げてから数年。荒牧自身がプレイヤーとして最前線に立ち続けながら、若手キャストのスカウトやプロジェクトの企画開発に乗り出した動きは、日本の舞台業界における「俳優起業家」の先駆けとなった。単なる独立にとどまらず、自作のプロデュース公演やファン参加型のデジタルコンテンツ展開を打つ手腕は、従来の興行主主導のビジネスモデルに対する鮮烈な回答だ。役者がみずから劇場を確保し、企画を打ち、客席を満たす。このサイクルを確立したことの意味は極めて大きい。