ネット上の旅行ブログなどで頻繁に発信されている「新幹線の方が圧倒的に速くて便利」という言説には、決定的な地理的死角が存在します。それが京都駅アクセス詳細における「南北の出口格差」です。
東海道新幹線が滑り込む京都駅のホームは、駅の南側に位置する「八条口」側にあります。八条口は高速バス乗り場や一部のホテルが立ち並ぶエリアですが、京都市営地下鉄烏丸線への乗り換えや、金閣寺・清水寺方面へ向かう市バスの巨大バスターミナル、京都タワーがあるメインゲートは、北側の「烏丸中央口」です。
新幹線八条口から烏丸中央口へ出るには、南北自由通路または跨線橋を渡る必要があり、観光シーズンの混雑時にはこれだけで5分以上の徒歩移動を強いられます。これに対し、JR新快速が到着する在来線ホーム(主に2番・3番のりば)からは、中央口改札へ直結のエスカレーターが整備されており、改札を抜ければ目の前がバスターミナルと地下鉄烏丸口改札です。観光地への二次交通まで含めたトータル移動時間で計測した場合、新快速利用者のほうが先に目的地へ到達しているという逆転現象が頻発します。
さらに、長期的な視点でのコスト差を象徴するのが通勤通学定期代比較です。JR各社の公式運賃表によると、この区間の通勤定期代には歴然たる開きがあります。
在来線のJR京都線を利用した1ヶ月の通勤定期代は17,210円(6ヶ月定期なら82,600円)。これに対し、新幹線定期券「FREX(フレックス)」を購入した場合、1ヶ月定期代は47,000円超に達します。月間で約3万円、年間で35万円以上ものコスト差が生じる計算です。新快速の定時運行率の高さと所要24分というスピードを考慮すると、会社からの特急代全額支給といった特殊な事情がない限り、自腹で新幹線通勤を選択するビジネスパーソンは極めて少数派であるのが現場のリアルです。