ネット上の感想で頻繁に交わされるのが「マモルは救いようのないクズ男なのか」という議論です。夜中の突然の呼び出し、テルコの手料理をつまみ食いしながらの無責任な態度、そして「テルちゃんのことは好きだけど付き合う気はない」という決定的な線引き。一見すると典型的な都合のいい女扱いをする不誠実な男性に映ります。
しかし、心理学的な力学を精査すると、問題の本質はマモルの悪意だけではありません。テルコ自身が無自覚のうちに「相手の要求を先回りして自分を差し出す」ことで、関係性を決定づけている点にあります。
テルコはマモルに嫌われることを極端に恐れ、自分の本音や都合を完全に封殺します。これは心理学でいう「心理的バウンダリー(自他の境界線)」の完全な喪失です。境界線を持たない相手に対して、人間は無意識に甘え、やがて軽視するようになります。成田凌が見せた「甘え上手でありながら急に冷淡になるマモルのリアルさ」は、テルコが差し出した自己犠牲の裏返しとして成立しているのです。