RIP SLYMEの強みは、タイプの異なるMC陣と稀代のトラックメーカーによる化学反応にあった。リーダーのRYO-Zが醸し出す圧倒的なポップセンス、ILMARIのスマートなフロー、PESの叙情的なメロディメイク、そしてDJ FUMIYAが作り出す革新的なビート。その中心で重低音のフックを打ち込んでいたのがSUだ。
しかし、脱退を表明したPESと他のメンバーとの間の溝は、ファンが想像する以上に深かった。SUの離脱をきっかけに、長年培われた「5人の絆」という幻想は崩れ去る。後にRYO-Z、ILMARI、DJ FUMIYAの3人で活動を再開させたものの、そこにはSUの低音もPESの切ないボーカルもない。元々のファンからは「何かが足りない」という声が常に付きまとっていた。すれ違った5人の距離は、時が経った現在も簡単には埋まっていない。