「春先まで元気に新芽を吹いていた10号鉢のイングリッシュローズが、8月に入った途端に水切れのような萎れ方を見せ、わずか3日で全葉が黄変して落葉した」
園芸コミュニティや知恵袋、SNSのガーデニング愛好家グループで毎年夏から秋にかけて無数に投稿される悲鳴の主犯は、ほぼ例外なくコガネムシ類の幼虫です。バラ栽培歴15年を誇るベテランロザリアンは、当時の惨状を次のように振り返ります。
「水やりをしても一向に吸い上げず、おかしいと思って幹を軽く揺すったら、何の抵抗もなく根元からスポッと抜けました。鉢土をひっくり返すと、本来なら鉢一面に張り巡らされているはずの白く美しい細根が一本も残っておらず、まるで切り花を土に刺しただけの状態。土の中からは、小指ほどの太さに丸々と太った白白色の幼虫が23匹も転がり出てきました。あれは言葉を失うほどの恐怖と喪失感です」
近年は観葉植物やバラの食害被害対策の重要性が改めて叫ばれています。特にオリーブ、ブルーベリー、イチジク、クレマチス、多肉植物、そして屋内に置くパキラやフィカスなどの観葉植物まで、有機質の豊かな培養土を好むあらゆる鉢植えが標的となります。
成虫は初夏から初秋にかけて、夜陰に乗じて鉢土の隙間に潜り込み、1匹あたり数十個から100個近い卵を産み落とします。ふ化した幼虫は孵化直後こそ微細な腐植を口にしますが、脱皮を繰り返して2令・3令幼虫へと成長するにつれ、猛烈な勢いで生根を齧り倒します。地上部の葉を観察しているだけでは地中の異変を察知できず、気付いた時には根毛がすべて消滅しているという「ステルス性」こそが、コガネムシ食害の最も恐ろしい点です。