戸田恵子という稀代の表現者にとって、『機動戦士ガンダム』のマチルダ役はまさにキャリアを切り拓く跳躍台となりました。マチルダ役で示した確固たる演技力はアニメ界で絶大な信頼を集め、その後の快進撃へと直結していきます。
1980年代には『キャッツ♥アイ』の来生瞳役、『ゲゲゲの鬼太郎(第3作)』の鬼太郎役など、次々と主演・看板役を担当。そして1988年、現在まで続くライフワーク『それいけ!アンパンマン』の主人公・アンパンマン役へと結実します。
クールで知性あふれる軍人・マチルダ中尉から、正義と献身の象徴であるアンパンマンへ。一見すると対極にあるキャラクターでありながら、「他者のために命を懸けて補給・救済を届ける」という本質において、戸田恵子の芝居の根底にある温かさと力強さは見事なまでに通底しています。