アフレコ現場における津田健次郎の振る舞いについて、共演者やスタッフは一様に「驚くほど静かで、しかし誰よりも熱い」と口を揃える。マイクの前に立つ直前まで静かに台本を見つめ、集中を高めていく姿はまさに職人そのものだ。未公開のエピソードとして、緊迫したバトルシーンの収録時、過度な音圧に頼るのではなく、あえて声を極限まで絞り込むことでキャラクターの底知れぬ怖さを表現したという逸話がある。この土壇場での引き算の芝居が現場のディレクターを唸らせ、演出プランそのものを変更させたことも一度や二度ではない。
また、後輩声優への面倒見の良さでも知られている。緊張で身体が強張っている若手に対し、本番前にさりげなくくだけた雑談を振って緊張をほぐすなど、現場全体の空気を柔らかく包み込むような配慮を欠かさない。画面越しに見せるクールでミステリアスな佇まいの裏側には、作品と共演者に対するどこまでも温かいリスペクトが満ち溢れている。