国土交通省が定める「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」において、カレンダーやポスターの掲示による画鋲の穴は、通常損耗(生活するうえで避けることのできない消耗)の範囲内と解釈されるのが一般的だ。しかし、退去時のオーナーや管理会社との不要な議論を避けるため、依然として多くの居住者が壁への穴あけに慎重な姿勢を保っている。
こうした消費者心理を受け、賃貸不動産業界側も「壁を傷つけない暮らし」を前提とした物件提案を増やすようになった。壁面を自由にアレンジできることが物件の付加価値として認められつつあるのだ。
これに連動するように、インテリア・日用品産業も市場拡大に熱い視線を送る。賃貸インテリアを楽しむ文化が若年層からファミリー層まで広く浸透したことで、ピンひとつから始まるホームデコレーション市場は今や巨大なトレンドを形作っている。