私たちが無人島生活に対して抱くイメージの多くは、スクリーン越しに植え付けられたものだ。映画『キャスト・アウェイ』でトム・ハンクスが木と木を擦り合わせて火を熾すシーンは象徴的だが、実際のサバイバルで舞い上がる木屑から発火させるには膨大な体力と熟練の技術が必要であり、体力を消耗した遭難者が試みれば命取りになりかねない。
また、海外ドラマ『LOST』のように、墜落現場に残された金属片やプラスチックを応用する発想は極めて現代的で実用的だ。自然の物だけで生き延びようとする「原始的サバイバル」にこだわる必要はどこにもない。現代のサバイバルドキュメンタリー番組を見ても解る通り、プロは漂着したペットボトルやビニール紐、漂流ゴミの発泡スチロールを容赦なく拾い集め、生活基盤の構築に利用する。「手に入りやすい文明の廃品をいかに道具に変えるか」という柔軟な思考こそが、本物の現場で要求されるスキルなのだ。