学業とスケートの両立。言葉で言うのは易しいが、十代前半の少年少女にとっては過酷そのものの日常だった。当時を知る元教諭の恩師は、穏やかな表情でこう振り返る。「とにかく真面目で、授業中は一番前の席でノートをびっしり取っていました。遠征帰りで体力が限界のはずなのに、弱音ひとつ吐かない。あの集中力と芯の強さは当時から異次元でしたね」。
給食の時間には友達と無邪気に笑い合い、休み時間には校庭を元気に駆け回る。そんな一見どこにでもいる中学生の顔を見せる一方で、ひとたび氷の上に立てば目つきが一変した。職員室の前で提出物を出す際に見せた丁寧な挨拶や、周りへの感謝を忘れない態度は、当時から校内でも評判だったという。偉業の裏側にあったのは、知られざる中学時代の秘話と愚直なまでの誠実さだった。