日本人の感覚では「虹は7色」が絶対的な事実に思えますが、一歩国境を出るとその認識は大きく揺らぎます。海外の虹は何色と捉えられているのかを調べると、文化や言語体系による驚くべき差異が浮かび上がってきます。
現代のアメリカの虹は6色の理由として最も大きいのは、実用主義的な教育カリキュラムへの移行です。アメリカやイギリスの初等教育では、肉眼で見分けるのが極めて困難なインディゴ(藍色)を区分から外し、「赤・橙・黄・緑・青・紫」の6色として教えるケースが主流になっています。「青と紫の間に藍色をわざわざ差し挟むのは視覚的に不自然だ」という合理的な判断によるものです。
さらに世界を見渡すと、色の分類はより多彩になります。
- ドイツ・フランス・中国:日本と同様に7色と認識されることが多い一方、日常会話では6色感覚の人も多数。
- ロシア:水色(ゴルボイ)と濃い青(スィーニー)を全く別の基本色彩語として扱うため、日本とは異なるニュアンスの7色。
- メキシコ(マヤ系先住民族):白・黒・黄・赤・青の5色。
- 東南アジア・アフリカの一部地域:温かい色と冷たい色、あるいは明と暗で分ける2色〜3色の概念を持つ部族が存在。
人間は網膜に同じ光のスペクトルを受け取っていても、それを言い表す「母語の色彩語」の枠組みを通して世界を認識します。言語が虹の色数を決めているという事実は、文化人類学や言語学における極めて刺激的なトピックです。