「福岡と東京、どちらが先なのか」という問いに対する明確な答えは、福岡です。名菓ひよ子が誕生したのは、今から110年以上も前の1912年(大正元年)のことでした。
舞台となったのは、当時、筑豊炭鉱で空前の好景気に沸いていた福岡県飯塚市。ひよ子の生みの親である「吉野堂」二代目店主・石坂直吉氏は、丸や四角といった当時の画一的な饅頭の形に物足りなさを感じていました。そこで「もっと愛される、温かみのある菓子を作りたい」と試行錯誤を重ね、夢の中に現れた愛らしい小鳥の姿から着想を得て立体的なひよ子の形を創り出したと伝えられています。
エネルギー革命の主役だった炭鉱で働く男たちにとって、甘く滋味豊かな焼き菓子は貴重な活力源でした。発売と同時に飯塚で爆発的な人気を博したひよ子は、やがて福岡市街や博多駅へと販路を広げ、九州を代表する名菓としての地位を築き上げていきました。