「溶連菌は子どもの病気」という固定観念は、大人の発見遅れを招く最大の障壁です。免疫機能が発達している大人は、典型的なイチゴ舌や全身の発疹が出にくく、単なる「ひどい喉風邪」「過労による扁桃腺の腫れ」と自己判断して放置してしまうケースが目立ちます。
しかし、溶連菌大人の初期症状と重症化には細心の警戒が必要です。大人が感染した場合、水を飲み込むことすら困難なほどの強烈な咽頭痛、38〜39℃前後の急激な発熱、頸部リンパ節の激しい腫れ、全身の強い倦怠感や関節痛が前面に出ます。
適切な抗菌薬治療を行わずに放置した場合、以下のような重篤な合併症を引き起こすリスクがあります。
- 急性糸球体腎炎:感染から1〜3週間後に発症。血尿、タンパク尿、むくみ、高血圧を引き起こす腎疾患。
- リウマチ熱:感染から数週間後に心臓の弁膜や関節、中枢神経に炎症を引き起こす自己免疫性疾患。
- 劇症型溶血性連鎖球菌感染症(STSS):「人食いバクテリア」とも呼ばれ、急速に筋肉の壊死や多臓器不全を進行させる致死率の高い病態。大人や基礎疾患を持つ層で特に警戒されています。
大人が溶連菌潜伏期間中の発熱と喉の痛みの前兆を感じた段階で、市販の風邪薬だけでやり過ごすことは避けなければなりません。細菌性感染症である溶連菌には市販薬の鎮痛成分は一時しのぎにしかならず、根本原因である菌を駆除できないためです。