雲の上の温泉リニューアルの真相と現在地|隈研吾建築と名湯の全貌

雲の上の温泉リニューアルの真相と現在地|隈研吾建築と名湯の全貌

雲の上の温泉リニューアルの真相と現在地|隈研吾建築と名湯の全貌に関する専門家の意見を分かりやすく解説いたします。

「雲の上の温泉」を語る上で欠かせないのが、人口約3,000人の山あいの町・梼原町と世界的建築家・隈研吾氏との30年以上に及ぶ蜜月関係です。1980年代後半、梼原町に残る芝居小屋「ゆすはら座」の保存運動に関わったことを契機に、隈氏は梼原の木造文化と深く共鳴しました。

「雲の上のホテル」を皮切りに、「梼原町地域交流施設」「木橋ミュージアム(雲の上のギャラリー)」「梼原町総合庁舎」「雲の上の図書館」など、町内には隈建築が集中しています。現代建築史において、これほど一人の建築家の思想的進化を一箇所で体感できる自治体は世界的に見ても極めて稀有です。コンクリートと鉄骨が主流だった時代に、梼原の杉材を大胆に活用した設計思想は、後の新国立競技場などの世界的プロジェクトへと結実していきました。

四万十川の源流域の原生林と呼応するように配された「雲の上の温泉」の空間構成は、訪れる者に深い安らぎをもたらします。木造の梁が複雑に交差する温水プールや、露天風呂から望む太郎川公園の借景は、人工物と自然環境が境界線を失って調和する建築社会学的な見事な解答といえます。

山下 哲也
著者

山下 哲也

デジタルガジェットとスマート家電の検証記事を多数執筆。失敗しないモノ選びを提案します。