マンションやアパートなどの集合住宅において、ベランダ対策を進める上で決して軽視できないのが消防法と建物管理規約の制約です。多くの居住者が誤解しがちですが、専有部分のように見えるベランダは、法的には区分所有法上の「共用部分の専用使用権」に基づく貸与スペースに過ぎません。
特に消防法第8条の2および関連基準において、各戸のベランダは火災時における重要な「第2の避難経路」に位置付けられています。隣戸との境界にある隔て板(蹴破り戸)の直前や、上下階をつなぐ避難ハッチ(避難はしご)の開口部周囲に、固定式の大型後付けオーニングや常設のベランダ目隠しシートを隙間なく固定設置する行為は、避難障害として行政指導や是正命令の対象となる可能性があります。
さらに外壁や手すり壁へのボルト穴あけは言うまでもなく厳禁です。賃貸ベランダ対策では、以下の安全三原則の徹底が求められます。
- 可動性の確保:緊急時に成人女性や高齢者でも3秒以内に端へ寄せて避難経路を全開にできるカーテンレール式、あるいはワンタッチ結束バンド留めを採用すること。
- 手すり外側への張り出し禁止:規約により景観維持および落下防止の観点から、手すり壁よりも外側にシートが出る張り方は不可。内側の物干し金具の可動域内に収めること。
- 高層階における常設制限:概ね6階以上では地上階より平均風速が約1.5倍から2倍に増幅されるため、つっぱり固定式の大型器具は管理組合の規約で明確に禁止されているケースが目立ちます。