原付の二段階右折廃止は本当?125Cc新基準と警察庁方針の全貌

原付の二段階右折廃止は本当?125Cc新基準と警察庁方針の全貌

原付の二段階右折廃止は本当?125Cc新基準と警察庁方針の全貌について徹底解説いたします。詳細な分析をお届けします。

警察庁が主導した有識者検討会「二輪車車両区分見直しに関する警察庁有識者検討会」の報告書において、走行ルールの改変は極めて慎重に議論されました。警察当局が一貫して二段階右折の存続を譲らなかった背景には、都市交通の安全工学に基づいた「決定的な3つの理由」が存在します。

第1の理由は、最高速度30km/h制限と四輪車の走行速度との乖離です。原付一種の法定速度は30km/hのまま維持されています。制限速度50km/h〜60km/hで流れる幹線道路において、片側3車線以上の最も左側の車線から中央の右折専用レーンへ車線変更を繰り返す行為は、後続の大型車や普通車から見れば「突如現れる極端な低速障害物」に他なりません。追突事故のリスクが跳ね上がることは交通工学の観点からも火を見るより明らかでした。

第2の理由は、運転免許取得時の技能水準の格差です。原付免許は適性検査と数時間の学科・実技講習のみ、あるいは普通自動車免許の付帯資格として取得可能です。クラッチ操作や高度な車体制御、複雑な交差点での進路変更判断をみっちり叩き込まれる普通自動二輪・小型二輪免許保有者と同等の交通処理能力を、すべての原付ドライバーに期待することは制度設計上不可能であると判断されました。

第3の理由は、交差点右直事故における死亡リスクの高さです。警視庁および交通医学関連の統計データによれば、二輪車が交差点中央で対向直進車と衝突する「右直事故」時の致死率は、追突事故の約4倍に跳ね上がります。低速な原付が対向車の間隙を縫って小回り右折を行う危険性を排除することこそが、昭和61年(1986年)に二段階右折が義務化されて以来、死亡事故件数を抑え込んできた防壁なのです。

高橋 健太
著者

高橋 健太

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。