2007年版『花ざかりの君たちへ〜イケメン♂パラダイス〜』が伝説と呼ばれる最大の理由は、当時まだブレイク前夜だった若手俳優たちが、のちに日本映画・ドラマ界の主役へと飛躍を遂げたキャスティングの奇跡にあります。2007年キャスト一覧を改めて振り返ると、現在のエンタメ界の勢力図そのものと言っても過言ではありません。
男装して全寮制男子校・桜咲学園へ潜入する主人公・芦屋瑞稀を演じた堀北真希は、本作で第54回ザテレビジョンドラマアカデミー賞主演女優賞を受賞。NHK連続テレビ小説『梅ちゃん先生』など国民的女優へと登りつめた後、2015年に俳優の山本耕史と結婚しました。2017年2月末をもって「愛する家族と幸せな日々を暮らしたい」と直筆メッセージを残して芸能界を完全に引退。堀北真希の引退理由と現在については、度重なる復帰説が週刊誌を賑わせるものの、関係者の証言によると現在も都内で2児の母として穏やかな生活を最優先にしており、芸能界へ戻る意向は一切見せていません。公の場から完全に身を引き、自らの選択を貫く潔さは、まさに芦屋瑞稀の芯の強さと重なります。
瑞稀が憧れる走り高跳び選手・佐野泉を演じた小栗旬は、本作で見せた影のあるクールな演技から大河ドラマ『鎌倉殿の13人』の主演、さらには所属事務所「トライストーン・エンタテイメント」の代表取締役社長への就任など、名実ともに日本芸能界を牽引するトップランナーとなりました。小栗旬演じる佐野泉の役どころは、挫折と再生を繰り返しながら瑞稀の存在に救われていく繊細な心情描写が求められる難役であり、彼の演技派としての地歩を固めた転機作でもあります。
そして、瑞稀を男と知りながらも惹かれてしまい、「オレはホモじゃねえ!」と激しく葛藤する中津秀一を演じた生田斗真。彼の一人語りシーンは通称「中津劇場」として親しまれ、数々の生田斗真による中津秀一の名言は平成の視聴者の記憶に刻まれました。当時ジャニーズJr.枠でありながらドラマ界で特異な存在感を放った生田は、その後劇団☆新感線の舞台や映画『土竜の唄』シリーズなど唯一無二のポジションを確立。2026年末の独立以降もフリーランスの俳優として挑戦的なキャリアを歩み続けています。
脇を固めたキャストの現在も驚異的です。第二寮長・難波南を演じた水嶋ヒロは実業家・作家として独自の道を歩み、関目京悟役の岡田将生、明石総三郎役の鈴木亮平は日本アカデミー賞の常連俳優へ。萱島大樹役の山本裕典は紆余曲折を経てABEMAのリアリティ番組などで強烈な再ブレイクを果たし、中央千里役の木村了や嵯峨和真役の溝端淳平もバイプレイヤーとして確固たる地位を築いています。これほどのタレントが一堂に会した奇跡は、平成ドラマ黄金期の象徴です。