1961年(昭和36年)4月3日にスタートした『娘と私』は、現在のような女性主人公の一代記ではなく、父親のモノローグ(語り)と演技が一体化した男性視点の日記ドラマとして企画されました。放送枠も現在(15分)とは異なり、毎週月曜から金曜の朝8時40分から9時00分までの20分枠でした。
主演の「私」役を務めたのは、文学座出身の重厚な演技派・北沢彪(きたざわ ひょう)です。北沢彪の穏やかで知的な語り口は、朝の忙しい時間帯の視聴者を瞬く間に魅了し、ドラマを大ヒットへと導きました。朝ドラ娘と私キャスト一覧を振り返ると、当時の劇団出身の実力派俳優や新進気鋭の子役が名を連ねています。
当時の制作現場は、生放送に近い緊張感に包まれていました。スタジオ技術が未成熟だった時代、セットの裏ではスタッフが汗だくで機材を動かし、娘と私主題歌ナレーションとともに流れるアコーディオンや弦楽器の生演奏が、お茶の間に温かな風を届けました。