1986年に放送された『男女7人夏物語』は、日本における「トレンディドラマ」の祖であり、空前のブームを巻き起こした。その大成功を受けて制作された続編『秋物語』において、脚本家の鎌田敏夫は前作の焼き直しを徹底的に拒絶した。彼が選択したのは、より成熟し、同時に傷つきやすくなった大人たちの泥臭い人間模様だった。
『夏物語』が軽やかな青春の戯れを描いたとすれば、『秋物語』は甘さを排した極上の恋愛ドラマである。登場人物たちが抱える挫折、嫉妬、そして素直になれないプライド。鎌田敏夫の手による台詞の数々は、観る者の心に突き刺さるリアリティを備えていた。時代を超えて語り継がれる傑作となった理由は、この妥協なき人間描写の深さに他ならない。