県外の旅行者が最も抱きやすい疑問が、「おざらは単なる『冷たいほうとう』なのか」という点です。結論から言えば、麺の仕込みから茹で方、つゆの構造に至るまで、両者は完全に独立した設計思想を持っています。
ほうとうの麺は幅広かつ肉厚(厚さ2.5〜3.0mm程度)で、打ち粉を落とさずにカボチャや根菜とともに味噌仕立ての汁で直接煮込みます。これにより、麺から溶け出した小麦粉が汁にとろみを与え、体の芯から温まる濃厚な煮込み料理が完成します。
一方のおざらは、冷水で締めて「すする」ことを前提に作られます。麺の幅こそほうとうに近いものの、厚さは1.5〜2.0mm前後と明らかに薄く打たれるのがおざら麺の特徴です。茹で上がった麺はすぐさま氷水や井戸水で揉み洗いされ、表面のぬめりを完全に除去。これにより、驚くほど滑らかな舌触りと、モチモチしていながらも心地よい歯切れの良さが生まれます。
さらに決定的なのが「つゆ」の存在です。ほうとうが味噌味であるのに対し、おざらのつけ汁は濃口醤油ベースの温かいつゆが基本です。鰹節や煮干し、昆布で引いた濃厚な出汁に、豚バラ肉、油揚げ、干し椎茸、ナス、ニンジン、ゴボウなどの細切り野菜をラードやごま油で炒めて煮込みます。冷たく締められた麺を、具材の旨味が溶け出した熱々のつゆに浸してすする「ひやあつ」の温度差こそが、おざらの真骨頂と言えます。