皮を剥いた後の最大の難関が、中心に鎮座する硬い種との分離です。包丁で無計画に切り落とそうとすると、果肉を押し潰して貴重な果汁がまな板へ流出してしまいます。果肉の組織を潰さず美しく切り分けるには、構造に沿った刃入れが求められます。
最も失敗が少ないのが、桃の切り方におけるアボカド切りです。桃の割れ目(縫合線)に沿って種に当たるまで包丁の刃を深く入れ、そのまま種を軸にしてぐるりと一周360度切り込みを入れます。両手で桃の左右を優しく包み込み、上下を逆方向に雑巾を絞るように軽くひねると、パカッと綺麗に2つに割れます。
残った桃の種取出し方については、スプーンの柄を種の周囲に差し込んでくり抜くか、種の左右に小さくV字の切り込みを入れて指でつまみ出すと、果肉を痛めずに外せます。種割れ(核割れ)が起きている個体の場合は無理にひねらず、縦に4等分または8等分へ切り込みを増やしてから種を外すのが破損を防ぐコツです。
おもてなしの席では、伝統的な桃のくし形切りが映えます。種を外した半身をまな板に伏せ、縦に3〜4等分へ放射状にスライスします。皮付きのままくし形にカットしてから、包丁の刃をまな板と平行にして皮と果肉の境目を滑らせるように切り離す手法も、果汁の漏出を最小限に抑えるプロの技法として重宝されています。