ベストセラー『バカの壁』などの著作で知られる解剖学者の養老孟司氏は、長年にわたり身体の本質や死生観について発言を続けてきた。養老氏は、生きている人間の身体は本人のものであるが、死んだあとの身体は本人の手を離れ「本質的に遺族や社会のものである」という見解を示している。
本人がどれほど「自分の死体を医学の役に立てたい」と願っても、死後にその身体と向き合い、寂しさに耐えるのは残された家族だ。日本経済新聞などのメディアでも報じられている通り、本人が家族に相談せず独断で登録を進め、死後に親族間で深刻なトラブルに発展するケースが増加している。本人の善意が、結果として残された家族を孤立させ、親族関係を切り裂くという深刻な社会問題が浮き彫りになっている。