歌舞伎の世界における収入システムは、完全な歩合制および公演ごとの契約手当によって成立している。大幹部と呼ばれるベテランや大名跡を継ぐトップ役者であれば、一幕の出演につき数百万円規模の出演料が発生することも珍しくない。一社独占の年間契約や定額保証が結ばれているケースもあるが、基本は「舞台に出て初めて対価を得る」のが原則だ。
一方で、名義を持たない名題下(なだいした)と呼ばれる若手や修行中の役者の生活は対極にある。1ヶ月に及ぶ長丁場の公演に出演しても、支給される手当は数十万円程度にとどまることが多く、年間を通じた収入は数百万円前半という厳しい現実が存在する。名門の家に生まれ育った御曹司と、一般家庭から研修生を経て角界ならぬ劇界へ飛び込んだ若手との間には、スタートラインから途途もない壁がそびえ立つ。