IAUの採択結果が報じられるや否や、世界中で感情的な反発の嵐が巻き起こった。特に米国では、自国の天文学者が発見した唯一の惑星というナショナリズムとノスタルジーが重なり、議決に対する市民のデモ活動や抗議声明がメディアを賑わせた。米国方言学会は2006年の「ワード・オブ・ザ・イヤー(今年の言葉)」に、価値や地位を不当に引き下げられることを意味する俗語「Plutoed(プルートされた)」を選出している。
一方、日本国内の教育現場では、文部科学省の学習指導要領改訂に伴い、2007年度以降の教科書で記述の統一が進められた。長年定着していた「水金地火木土天海冥」は完全に姿を消し、「水金地火木土天海」が公式な教育基準として定着していった。
現在、教育現場や家庭内では世代間ギャップが生じる場面も少なくない。教育関連のアンケート調査やSNS上の投稿を検証すると、「子どもの宿題を見ていて『冥王星がない』と指摘したら、逆に古い常識だと笑われた」といった声や、「親世代が無意識に唱える『冥』の一文字に違和感を覚える」という若年層の率直な反応が多数確認できる。
さらに世代間の記憶を複雑にしているのが、かつて存在した「天王星と海王星の順番逆転」の歴史である。冥王星の公転軌道は極端につぶれた楕円形をしており、1979年から1999年までの約20年間、冥王星は海王星の内側に入り込んでいた。そのため、当時の児童書や一部の理科教材では「水金地火木土天冥海」と教えられた時期が存在する。1999年2月に再び冥王星が海王星の外側へ戻り、そのわずか7年後の2006年に準惑星へ除外された経緯があるため、昭和末期から平成初期に学んだ大人ほど、天体の並び順に対して二重の混乱を抱えやすい傾向にある。