最終巻が刊行された当時、レビューサイトやSNSコミュニティでは激しい反発の声が噴出し、いわゆるうさぎドロップ炎上理由として今なお検証が続けられています。批判的な意見の筆頭に挙げられたのが、うさぎドロップ気持ち悪いと言われる理由の核心である「育成動機の変質に対する嫌悪感」でした。
読者が第1部で熱狂したのは、「見返りを求めず、不条理に孤立した幼子を守る独身男性の無私の献身」でした。夜尿症に悩み、登校拒否に怯える幼少期のりんに対し、ダイキチは仕事をセーブし、私生活を犠牲にして父親役を全うしました。ところが、その育てた子どもが最終的に自分の妻になるという展開は、無償の父性愛を信じて感情移入していた読者に対して、「最初からトロフィーワイフを育てていたかのような錯覚」を抱かせる精神的拒絶を生んでしまったのです。
さらに火に油を注いだのが、コウキとりんの関係の結末です。同じ境遇のシングルマザー家庭で育ち、りんに対して不器用ながら一途な好意を寄せ続けた同世代のコウキは、多くの読者から「正統な恋愛対象」として応援されていました。しかし作中では、りんのダイキチへの執着によってコウキの想いは完全に退けられます。この残酷な対比が、読者に深い徒労感と後味の悪さを植え付ける一因となりました。