昭和から平成、そして令和へと続く日本の歌謡曲の歴史において、『サライ』は異色の存在感を放っている。一般的にヒット曲といえば、レコード会社主導のプロモーションやドラマの主題歌から生まれることが多かった時代に、テレビ番組の生放送中に視聴者の参加を得て完成するという手法は極めて革新的だった。
番組のメイン会場として数々の名場面を生み出してきた両国国技館。その大空間に響き渡る出演者や観客、マラソンランナーを総出で迎える大合唱は、計算された演出を超えた生の人間ドラマそのものである。土俵を模した巨大なステージの上で、感極まりながら歌う出演者たちの表情は、毎回多くの人々の涙を誘ってきた。舞台裏では、進行の秒単位の調整や、合唱のタイミングを合わせるための緻密なスタッフの努力が積み重ねられている。