少子化が急速に進む日本国内において、EdTech・幼児教育産業は皮肉にも右肩上がりの活況を呈している。1セットあたり数十万から百万円近くに達するディズニー英語システムのような老舗パッケージから、ベネッセコーポレーションをはじめとする大手通信教育各社のデジタル連動型プログラムまで、市場には魅惑的な選択肢が溢れかえっている。
だが、現場の児童発達の専門家からは警鐘も鳴らされている。乳幼児期に英語音声を浴びせ続けるあまり、日本語での感情表現や論理的対話が疎かになる「セミリンガル(ダブル・リミテッド)」のリスクだ。言語は単なる記号の羅列ではなく、思考を組み立て、自己を確立するための根幹である。英語習得を急ぐあまり母語の足場を崩してしまえば、将来的に高度な抽象概念を理解する段階で深刻な学力不振に直面しかねない。
教材の導入自体が悪なのではない。問題は「買い与えさえすれば勝手にバイリンガルになる」という親の過度な期待と依存だ。リビングの飾りと化した高額教材のローン残高にため息をつく家庭の多さは、業界が語りたがらない不都合な真実である。