昔から「人相を見れば性格や将来がわかる」と語られることがありますが、犯罪者の人相学的な共通点を科学的に裏付ける証拠は現代の科学において完全に否定されています。19世紀後半、イタリアの精神科医チェーザレ・ロンブローゾが「生来性犯罪者説」を唱え、額の傾斜や顎の発達など特定の身体的特徴を持つ者が犯罪に走りやすいと主張しましたが、後の統計的研究によってその説は完全に破綻しました。
ネット上で頻繁に囁かれる犯罪者の三白眼に関する噂の真相も同様です。黒目の上下左右のどこかに白目が多く見える三白眼が凶暴性や異常性を示すという説に医学的・統計的な根拠は一切ありません。それにもかかわらず多くの人が「犯人らしい顔」と感じてしまう背景には、心理学における「確証バイアス」や「ホーン効果」が存在します。「凶悪犯=冷酷な顔をしているはずだ」という先入観を持って写真を見るため、逮捕後の険しい表情や無表情を悪意と結びつけて解釈してしまうのです。
一方で、犯罪心理学における目つきの研究では、生まれつきの造形ではなく「置かれた環境や精神状態による表情の変化」が指摘されます。長期にわたる社会的孤立、薬物乱用、慢性的な睡眠不足や極度のストレス下にある人物は、視線の定まらなさや警戒心の強い眼差しを見せることがあります。これは骨格や人相の問題ではなく、その人物の生活環境や心理的疲弊が一時的に表情として表出しているに過ぎません。