なぜ彼女の肉体表現は、半世紀近くが経過した現在でも色褪せないのだろうか。その理由は、撮影現場における徹底した美学と妥協なき情熱にある。篠山紀信をはじめとする当時の超一流クリエイター陣は、一切の過剰な演出を削ぎ落とし、被写体の本質を抽出することに全力を注いだ。
カメラマンと女優という一対一の極限状態のなかで生み出されたカットの数々には、張りつめた緊張感と信頼関係が同居している。「いかに美しく見せるか」ではなく「いかにその一瞬の命の輝きを定着させるか」。現場で交わされた熱い火花こそが、後世まで語り継がれる伝説的アートワークの源泉だったのだ。