九重部屋の歴史を語る上で欠かせないのが、土俵を席巻した歴代横綱たちの存在です。1967年に元横綱・千代の山が創設して以来、12代(元横綱・北の富士)、13代(元横綱・千代の富士)と受け継がれ、北勝海(現・八角理事長)を含む数々の大横綱・名力士を輩出してきました。幕内最高優勝回数において角界屈指の記録を誇る名門の看板は、常に重圧と背中合わせの歴史でもありました。
2016年7月、列島に衝撃を与えた先代親方・千代の富士の急逝に伴い、部屋の舵取りを託されたのが元大関・千代大海の14代九重親方です。当時の記者会見で親方は「先代の教えである『心技体』と、前に出る攻めの姿勢を絶対に絶やさない」と涙ながらに決意を語りました。師匠の急逝という最大の危機に直面しながらも、部屋の団結を守り抜き、伝統の継承と現代的な指導法の導入を両立させています。
先代が徹底した「妥協なき稽古」の遺伝子は、現親方の熱血かつ論理的な対話指導によって形を変えつつも、力士たちの胸に深く刻み込まれています。土俵際で決して諦めない泥臭い闘志こそが、九重部屋の看板を支える不変のバックボーンです。