「面接は退室して建物の敷地を出るまで終わらない」と言われるように、面接終了を告げられた直後こそ、人間の本性が最も露呈しやすい瞬間です。質問が終わった安堵感から、立ち上がりざまにため息をついたり、だらしなくカバンを持ち上げたりする姿は、面接官に決定的な失望感を与えます。
退室プロセスにおける中核となるのが、面接退室マナーとお辞儀の角度のコントロールです。日本のビジネス礼儀作法において、お辞儀は「会釈(15度)」「敬礼(30度)」「最敬礼(45度)」の3つに明確に分類されます。面接終了時の立ち居振る舞いでは、これらを状況に応じて使い分ける高度な身体コントロールが求められます。
面接官から「本日の面接は以上です」と告げられたら、まずは座った状態のまま目を見て「本日は貴重なお時間をいただき、誠にありがとうございました」と感謝の言葉を述べ、深く一礼します。その後、静かに立ち上がり、椅子の横に立って姿勢を正します。ここで改めて「失礼いたします」と発声し、腰から背筋を一直線に伸ばした45度の「最敬礼」を行います。頭を下げる時間と上げる時間の比率を「1:2」の意識で行うと、極めて重厚で礼節ある印象を残すことができます。
カバンを丁寧に持ち上げ、ドアの前まで落ち着いた足取りで移動します。ドアの直前で面接官の方へ向き直り、アイコンタクトを取りながら「失礼いたします」と15度から30度の会釈を交わします。ドアを開け、身体を外へ滑り込ませた後、最後まで面接官がいる室内側を見つめながら、静かにドアを閉め切ります。ガチャンとラッチが噛み合う金属音を響かせないよう、ノブをしっかり回したまま閉め、最後にゆっくりとノブを戻す配慮がプロフェッショナルの基準です。
さらに見落とされがちなのが、冬場における面接コートの脱ぎ方と畳み方です。コートは面接室に入る前ではなく、企業のビル・オフィスエントランスに入る前に脱ぐのが鉄則です。脱いだコートは裏地を表にして縦半分に折り、腕にかけて携帯します。面接室内では、畳んだコートを自分のカバンの上に二つ折りにして置くか、背もたれに掛けるよう指示された場合のみ丁寧に掛けます。面接が終了し、エレベーターに乗ってビルの外へ完全に出るまでは、決してコートを羽織ってはなりません。