文学の枠組みにあったティンホイルハットを、視覚的な共通認識として世界中に決定づけたのが、2002年公開のM・ナイト・シャマラン監督によるSFサスペンス映画『サイン』(Signs)です。
劇中において、メル・ギブソン演じる主人公の家族(ホアキン・フェニックスや子役たち)が、襲来した宇宙人による思考盗聴やテレパシー攻撃を防ぐために頭へ三角錐のアルミホイルを巻き、真顔でリビングに座り込むシーンが描かれました。緊迫したシチュエーションと絵面のシュールなギャップは強烈なインパクトを残し、「頭にアルミホイル=宇宙人や未知の電波を警戒する狂気的な防衛行動」という視覚的パロディがポップカルチャーへ浸透する決定打となりました。
さらに後年、大ヒットドラマ『ブレイキング・バッド』のスピンオフである『ベター・コール・ソウル』に登場する弁護士チャック・マッギルの描写がこのイメージを補強します。重度の電磁波過敏症を患うチャックは、自宅の壁一面にアルミホイルを貼り巡らせ、サバイバルブランケット(アルミ蒸着シート)を身に纏って生活します。こうしたメディア描写の積み重ねにより、「電磁波や外部の攻撃から逃れるために金属シートを被る人物」のステレオタイプが世界中で定着していきました。